f/s Mt.Fuji Bottom Turn by Hiromichi Soeda. Photo by U-ske.

Interview&Text by Jun Takahashi. Photo by Yasuma Miura. Movie by Hajime Aoki.

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看板ブランドであるROCKDANCE(ロックダンス)をはじめ、国内外の超一流シェイパーによる最先端かつハイクオリティなサーフボードを40年ほどにわたって制作し続け、日本のサーフィン史とともにある湘南・平塚発の老舗サーフボードメーカー「ソエダサーフボードジャパン(SSJ)」。

パート1に続く完結編。SSJ創始者である添田博道さんがブランドを続ける上で大切なこと、サーフィンに対するシンプルな情熱を語ってくれた。

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※パート1と添田博道さん、ロックダンスのプロフィールはこちらからチェック!
>>【#BILLABONGCORE】Vol.1 Part.1 SOEDA SURFBOARDS JAPAN ソエダサーフボードジャパン(湘南・平塚)

 

ブランドのこだわり。そして大切なこと

ビラボン(以下B):SSJが他のブランドに比べてユニークなこと、誇りに思っていることは何でしょうか?

添田博道さん(以下H):うちのこだわりは国内外から最高の素材、最高のシェイパーを集めてきてボードをつくる点じゃないですか。本物を削っていただき、自社工場でマスターワークス(SSJが誇る少数精鋭の精確な技術力を持った日本人職人たち)として手を加える。最高のクオリティを持って、オリジナルのサーフボードを仕上げています。


撮影の日、SSJのファクトリーに集まったメンバー。左から博道さん、ラミネーターの由利篤さん、シェイパーの松本光二さん、若手スタッフの井上謙渡さん、ライダーの浜瀬海プロ、サンディングマンの内田光信さん、息子である知博さん。マスターワークスの技術力は海外のトップシェイパーのお墨付き。

 


知博さんとSSJオフィスの前にて。コンテナを積み上げてつくった建物は年月を経て、独特の存在感を放っている。息子が後継ぎとなったことに対しては、「わかんないなぁ、いいところもあれば大変なこともあるし。辛いときもあれば楽しいときもありますから」と、笑顔で話していた。

 

B:サーフィン業界の気にいってるところは?

H:気にいってることはあまりないけど……波に乗るのが楽しい。中毒。困りますね(笑)。

B:ROCKDANCEのショールームは平塚の海沿いにあります。

H:それは当たり前のこと。できれば、海で使うものは海岸線にあるのがいいんじゃないですか?だってすぐに浮かべられるわけじゃないですか、海に。

B:ショールームにはビラボンショップが併設していますよね。

H:服を買っていただきながら、サーフィンの道具を買っていただける。その逆もあるわけだから、お互いにいい。お洒落な服があるところに、綺麗な板を置くわけじゃないですか、海の目の前のお店に。そうすれば景色に溶け込んで全体がよりカッコよく見える。ビラボンはサーフィンをやる服ですから。


平塚のビーチフロントにあるロックダンスショールーム。テストドライブもできるので、自分にマッチした一本が必ず手に入る。直営店ならではのレアなボードから最新のウェアまで、国内随一の品揃えを誇るビラボンストアが隣接する。サーフブランドは海沿いにあってこそ輝きを増す。

 

B:ブランドを始めてから、一番クレイジーだったストーリーを教えてください。

H:何しろ、良いこともあれば大変なこともあって。だから楽しいのかもしれないですけどね。嫌なこともありますよ。言えないなぁ……ヤバ過ぎて言えませんね(笑)。言葉に出せないようなことありますよ、はい(笑)。

B:そうしてブランドを続けて40年ほど。酸いも甘いも知り尽くした老舗として大切にしてるものは?

H:一生懸命やること。日々の努力じゃない?もちろん楽しいからやるんだけど。結局、積み重ねだからね。だから辞められないわけじゃないですか。辞めたら切れちゃうわけじゃん。だからいつもサーフィンして、いつも働く。いつもカッコいいものを販売する。そういうんじゃないの、うん。そんなことやってるうちに自然と流れて行くんじゃないかな。

B:ブランドをやっていて不安なことはありますか?

H:サーフィンは流行っていくとは思いますけど、日本は人口が減少していくわけじゃないですか。そういう面では注意していかないとね。

B:そんな時代でも、強みは地元の海で長く続いているブランドということだと思うのですが。

H:それはあります。友だちとか知り合いに買っていただいたり。あと代理店じゃなくて、自分のブランドだから。そこは強いよね。でも勝手にそう言ってるだけで、皆さんが決めることだから。俺が決めることじゃないから、わからないよ(笑)。


数え切れないほど、個性豊かな多くのプロサーファーが博道さんのもとから育っている。そんなひとり、2017年JPSAロングボードサーキットのグランドチャンピオンに輝いたロックダンスのライダー、浜瀬海プロと一緒に。そのサーファーズスピリットは次世代へ脈々と受け継がれる。

 


ビラボンのキャッチフレーズ、“Only a Surfer knows the Feeling”がSSJのショールームには大きく掲げられている。簡単には言い表せられない、波に乗るマインドをみごとに表現したこの言葉は、長きに渡って世界中のビーチからリアルなサーファーたちによって発信され続けている。

 

B: “Only a surfer knows the feeling” (サーファーだけが知るあの感覚)という言葉についてどう思いますか?

H:その感覚がよくてやってるわけだから、口ではもう言えませんよ。何よりも楽しいですよ。本当危ないですよ、この世界に入りますと(笑)。辞められなくなりますから、サーフィンを。そわそわしちゃうじゃないですか、仕事やってても、波があると。上手くなればどんどんビッグウェイブにも目が向いて、チャレンジしていくし。もう止まらないですよ、サーフィンは。永遠に。

B:やっぱりサーフィンはカッコいいですよね。

H:カッコよくて、楽しくなかったらやりませんからね。はい(笑)。

B:この先、博道さんがサーファーとして見ているビジョンはどんなものでしょうか?

H:ただサーフィンできて、このまんま終わるしかないな。このまんま滅びていくんだろうな、歳をとって。

B:最高ですね!

H:最高じゃないと思うんですけど、身体が動かなくなってきてるし、疲れちゃうし(笑)。疲れますよ、サーフィンして、仕事やって、酒飲んで。でもそうできるのも、周りが手伝ってくれるからだからね。仕事しくれている人たちもそうだし、お客さんもそうだし、ディーラーさんもそうだし、みんながだからね。自分ひとりの力じゃない。みんなに手伝ってもらってるから。ありがたいですよ。


とある初春の日、平塚のビーチブレイクにて。サーフボードを通して多くの人たちにサーフィンの楽しみを与えていくことを生業とし、波が立てばその姿は必ず海にある。サーファーならば誰もが知っている、あの感覚を求め続けて。Photo: U-ske

 

<終わり>

 

 


<ショップインフォ / INFORMATION>
ロックダンス ショールーム / ROCKDANCE SHOWROOM
平塚・生コンポイントが目の前という抜群の立地で、勢ぞろいするニューモデルをすぐに試乗することが可能。そして海上がりに的確なアドバイスを受けられるという、マジックボードを手にするためのすべてがここにある。プロライダーの活動、モーリス・コール来日シェイプの予定などの最新情報はブログ(http://rockdance.co.jp/blog/)でチェックしよう。併設するBILLABONG STORE OCEANSIDEHIRATSUKA(ビラボンストア オーシャンサイド 平塚)では、プロショップ限定のビラボンアパレルコレクションライン、ダ・カイン、ボン・ジッパーなどすべての最新サーフギアがそろう。2階では、お値打ちなアウトレット商品も販売している。

ADDRESS: 〒254-0803 神奈川県平塚市千石河岸56-5 SIMSビル西
TEL: 0463-79-6005
WEB: http://rockdance.co.jp

<ビラボンコアとは? / What is「#BILLABONGCORE」? >

 ビラボンは、1973年に創始者であるゴードン・マーチャントがつくり出した良質なボードショーツが、ローカルサーフショップから全世界へ広まっていったのが始まりです。グローバルブランドへと成長を遂げた今も、「Only a surfer knows the feeling(サーファーだけが知るあの感覚)」というフレーズとともに、サーフィンを愛するシンプルなスピリットをもっとも大切にしていることは変わりません。流行の移り変わりが早いこの時代だからこそ、サーフカルチャーを育み続けている、海辺のボードメーカーやサーフショップの背景にある“歴史”という揺るぎない価値、核(コア)を見つめ直し、改めてその魅力を伝えるべく生まれたコンテンツが「#BILLABONGCORE」です。サーファーたちのユニークな伝統を紡いでいくことは、世界のサーフシーンを長きに渡り支えているビラボンの役割であると考えています。

 

 

yoge
サーフィン・プレビュー/吉田憲右著・泉書房、古都鎌倉ミステリー旅/吉田憲右著・コスミック出版など数々の書籍を発行し、2000年にTRANSWORLD SURFの外部スタッフとなったのをきっかけにメディア界に参入。 2001年から2009年10月まで月刊SURFING WORLDの編集部兼カメラマンとして勤務。 その経験と共に、第1回NSA東日本サーフィン選手権大会Jrクラス3位、2年連続THE SURFSKATERS総合チャンプなどテストライダーとして培ってきた経歴を活かし、サーフィンを軸としたスケートボード、スノーボード、ミュージック、アート全般をひとつのコーストカルチャーとしてとらえ、心の赴くままにシャッターを押し、発信し続ける。 >>>出版物 >>>プライベート撮影問い合わせ