Photos & Text by BILLABONG Japan.

ビーチから江の島までは約1キロ。プロサーファーやライフセーバーをはじめ、海をよく知るメンバーがパドリングで入り江に向かった
。

~伝え、備える~

6/14(日)。

今年で5回目を迎えるBILLABONGと西浜サーフライフセービングクラブが共同開催するクリーンナップイベント”Enoshima Ocean Cleanup 2026″が行なわれた。

2022年から毎年開催され続けている今回のテーマは「伝え、備える」。

海岸、街中、そして江の島の入り江を清掃しながら、街と海がつながっていることを改めて見つめ直すと共に、ライフセーバーによる心肺蘇生法(CPR)のレクチャーを通して、海辺で過ごす一人ひとりが”いざという時”に行動できるための備えを学ぶ一日となった。



日本のサーフカルチャーの中心地・湘南の海を日々のフィールドとする人たちにとって、ビーチは単なる遊び場ではない。

仲間と集い、サーフィンの楽しさを分かち合い、季節の移ろいを感じることができる尊い場所であり、それと同時に街や川、そして暮らしとつながる環境の一部でもある。

BILLABONGと西浜サーフライフセービングクラブ(SLSC)が掲げている”PROTECT THE PLACES WE PLAY(自分たちの遊び場を守ろう)”という言葉には、そうした海との関わり方がメッセージとして込められている。



最近では海岸を清掃する個人や団体は増え、ビーチや街中では以前よりゴミが減っているように感じる場面もあるが、街から川を伝って流れ出たゴミを潮が運び、人の手が届きにくい場所へ押し込んでいく現実は、残念ながら今も大きくは変わっていない。

ふだん目に見える場所がきれいになっても、江の島の入り江のような場所には漂着ゴミがたまり続けている。

日常の体感と事実のギャップを知り、伝えていくことが、この活動の出発点なのである。

今回のイベントは、夏本番を告げる海開きを前に実施。

参加者はグループに分かれ、岩崎学園など関係団体のメンバーや一般参加者は海岸や周辺の街中を清掃。

ライフセーバーやサーファーを中心としたグループはパドリングで江の島へと渡り、入り江に流れ着いたゴミを回収した。

今年の江の島は、例年とは少し景色が違っていた。

これまでは満潮に近い時間帯に渡ることが多かったが、この日は潮が引き、ふだん海面の下に隠れている入り江の足もとがあらわになっていた。

ぬかるんだヘドロの感触。

岩場の隙間に引っかかった大きな漂着物。

水際に次々と流れ着くビニール袋。

そこには、遠くのどこかではなく、私たちの暮らしのすぐそばから流れてきたと思われるゴミが想像以上に残されていた。



目についたのは、食品容器、ペットボトル、空き缶、そして過剰に個包装されたお菓子の包装紙。

さらに大きなものでは、発泡スチロールの箱の破片、テント、車のタイヤ、三角コーン、車のバンパーまでが漂着していた。

なかには保険証のような落とし物もあり、街で失われたものが川を流れて海へとたどり着いている現実を突きつけられた。



Ren Okano.

きれいな海を未来へつないでいくためには、海辺での清掃活動だけでなく、それぞれが日々の暮らしのなかでゴミを出さない意識を育てていくことが欠かせない。

何を買うか、どう使うか、どこに捨てるか。

ふとした選択の積み重ねが、やがて海の景色を変えていく。

そして今年は、清掃活動のあとにライフセーバーによる心肺蘇生法(CPR)のレクチャーが実施。

海辺で過ごすサーファーやビーチユーザーが、もしもの場面に立ち会った時、どう動けばいいのか。

ライフセーバーの指導のもと、参加者は胸骨圧迫の方法や初期対応の大切さを学び、「いざという時に備える」ことの意味を体験を通して共有した。

環境を守ること。

街と海のつながりを知ること。

そして、海で遊ぶ人たちの命に備えること。

そのひとつひとつの行動が、自分たちの遊び場を未来へ残すことへとつながっていく。

湘南の海で見えた現実は、けっしてこの場所だけのものではない。

どこの海も、街や川や人の暮らしとつながっているのだから。

当日は朝8時に80名ほどが集合。風も波も穏やかななか、西浜SLSCマーケティング・環境委員会理事の新井大介さんの指揮のもとクリーンナップイベントが始まった


1963年に活動を開始した西浜SLSCは、60年以上にわたって毎年夏の水難救助活動を担ってきた歴史あるライフセービング団体。BILLABONGは、パトロール用ビーチウェアのサポートを通じてその活動を支えている
。

大潮のロータイドと重なり、岩場はむき出しに。水際には、木屑とともに小さなビニール片が多く浮いていた。足もとの感触はヘドロ状、においもきつい
BILLABONGプロライダーの安室 丈(上)と岡野 漣(下)はペットボトルや缶などのゴミを拾い集めた。その数は拾いきれないほど多い。

同じくBILLABONGプロライダーの髙井汰朗は車のバンパーを見つけてきた。にわかには信じがたいが、これが現実だ
。
モデルのレイラはこう話す。「人口に対して、物の供給が多すぎると思います。だから供給を減らしつつ、こういう活動にみんな参加してほしい。そうすれば、無駄に捨てるという考え方も少しずつなくしていけるはず。一人ひとりが考えることももちろん大事ですが、国民全員が年に2回は清掃に参加することを義務づけるくらいでないと、変わらないのかもしれません。実際にこの状況を見ないと、なかなか伝わらない。本当に目の当たりにしてほしいですね」


江の島は境川の河口に位置しているため、生活から出たゴミが漂着しやすい。入り江にたどり着いたゴミの多さは、街から海へ流れ出る量を如実に物語っている。海を守るために必要なのは、拾うことだけではない。そもそも捨てないこと、できるだけゴミを出さないことだ

。

5回目を迎えたEnoshima Ocean Cleanup。活動は少しずつ広がり、今回はテレビの取材も入った。現場で見たこと、感じたこと、そして海を守るために必要なことが、確実に伝わりはじめている。

わずか数十分の清掃で集まったゴミの山。そこからは、街の暮らしから流れ出たさまざまなものが見て取れる
。

オーシャンクリーンと同時に、ビーチや街中を清掃。川や海に流れ出る前に、ゴミを拾い上げることも大切だ
。
(前列左から)BILLABONGプロライダーの松岡慧斗、髙井汰朗、岡野 漣、安室 丈と、西浜SLSCのメンバーたち。海をフィールドとする同志が集まり、率先して清掃を行なった
。
西浜SLSCのメンバーで、ライフセービング日本代表キャプテンも務める上野凌さんが取り仕切り、心肺蘇生法(CPR)の講習が行われた。「みなさんにぜひ覚えておいていただきたいのは、心臓が止まった時に大事なのは、いかに早く脳に酸素を回してあげるかということです。そのためには、心臓をとにかく押し続けないといけないんです。もしも誰かが倒れた時には、なるべく早く心臓マッサージを開始する。ぜひそこだけでも覚えていただきたいです」
「手のひらの付け根を、乳頭と乳頭の間、心臓がある位置に当てていきます。足は肩幅に開いて、真上から、肘を伸ばして体重をかけて押していく。大体5センチくらい沈めばいい。ペースとしては1分間に100回くらい。なので、1秒に1回以上のペースで押していきます」

上野さんの説明後、CPRの実習へ。実際の場面でとっさに動けるかどうか。その差を生むのは、こうした備えだ。知っておくことで、救える命がある
。
清掃と講習を終えたあとは、BILLABONGのグッズが当たるじゃんけん大会も開催。
江の島海水浴場協同組合顧問、藤沢市議会議員の佐賀ワキさん。「今年とくに目立ったのが、飴玉などを小分けにした小さな袋でした。街中で気軽に口にして、無意識に捨てられたものが側溝へ流れ、川を通って海に出ていく。今回見つかったものは、たまたま入り江にたどり着いて回収できましたが、その多くは海へ流れ、マイクロプラスチックの原因のひとつになってしまいます。身近にそういう人がいたら、こうした小さなゴミが海を汚し、環境を壊していることをぜひ伝えていただけたらと思います」
BILLABONGマーケティングディレクターの小島研史さん。「正直、さみしいというか、心が痛くなるくらいの海でした。ビーチで見ているのは表面的なもので、一歩奥に踏み込むと、ゴミがものすごく溜まっていることを目の当たりにしました。この実情をしっかり発信していくことで、日本全国、そして世界の海がきれいになるきっかけになれればと思います。そして、自分も含めて、サーファーでも意外と心肺蘇生法を知らないことが多いです。今日のレクチャーを活かして、水難事故が起きた時には、しっかり人の命を守れるよう、今後もがんばっていきたいです」

西浜サーフライフセービングクラブのパトロールキャプテンを務める山田海斗さん。「7月1日から江の島の海水浴場が開設されます。開設期間中に津波注意報や警報などが発令された際には、赤と白の格子模様の津波フラッグを掲げます。これは海にいる方々へ危険を知らせる大切な目印です。ライフセーバーがこの旗を掲げた際には、誘導や放送に従い、安全な場所へ速やかに避難してください。私たちは、安心して海を楽しめる環境づくりに努めてまいります」


モデルのレイラとアンナ。海をきれいにして、いざという時の学びを得てピース!


PROTECT THE PLACES WE PLAY!自分たちの遊び場、海を守ろう!



<2026年 海水浴場開設期間>


片瀬東浜海水浴場


7月1日(水)~9月6日(日)


・遊泳可能時間:【平日】9時~17時
【土日祝・お盆期間(8月8日~16日)】8時~17時


・海の家営業時間:8時~18時(一部店舗は8時~21時)

片瀬西浜・鵠沼海水浴場 
7月1日(水)~9月13日(日)


・遊泳可能時間:【平日】9時~17時
【土日祝・お盆期間(8月8日~16日)】8時~17時
・海の家営業時間:8時~21時

※遊泳エリアなどのさらなる詳細は下記リンクを参照。


https://www.fujisawa-kanko.jp/event/20260602-1.html


yoge
サーフィン・プレビュー/吉田憲右著・泉書房、古都鎌倉ミステリー旅/吉田憲右著・コスミック出版など数々の書籍を発行し、2000年にTRANSWORLD SURFの外部スタッフとなったのをきっかけにメディア界に参入。 2001年から2009年10月まで月刊SURFING WORLDの編集部兼カメラマンとして勤務。 その経験と共に、第1回NSA東日本サーフィン選手権大会Jrクラス3位、2年連続THE SURFSKATERS総合チャンプなどテストライダーとして培ってきた経歴を活かし、サーフィンを軸としたスケートボード、スノーボード、ミュージック、アート全般をひとつのコーストカルチャーとしてとらえ、心の赴くままにシャッターを押し、発信し続ける。 >>>出版物 >>>プライベート撮影問い合わせ