Photos & Text by colorsmagyoge.
この日会場にいたすべての人たちが、改めて村上舜のダントツの上手さを痛感したに違いないだろう。6年ぶりに開催された夏の1大イベント、湘南オープンTOP OF TOPを制し、賞金100万を獲得した村上舜、価値ある1勝を手にした瞬間。Shonan Open winner, Shun Murakami.
7/20(日)から7/21(月・海の日)の2日間に渡り、鵠沼HUG RIDEスケートパークと鵠沼地下道前ポイントを会場に開催された夏の一大イベント湘南オープン!
6年ぶりの開催となった今回、サーフィン・コンテストはショートボードのTOP FO TOPとロングボードのSTYLE JAMが行なわれた。
夏休みに突入したばかりのタイミングの3連休に開催されたこともあり、会場には普通のサーフィンコンテストではあり得ないほど多くの人たちが押し寄せ、大盛り上がりとなった。
SHONAN OPEN 2025
ショートボードのTOP OF TOPは、プロサーファーYoutuberのkumebrosの粂浩平が選出した日本を代表するトッププロサーファー18名の招待選手のみで優勝賞金100万円を競い合うエキサイティングなコンテストとなった。
優勝を飾ったのは村上舜。
そんな彼は東京オリンピック以降は一切コンテストに出ず、自らが結成するチームMOBBの活動と共にウェイブハントという我が道を突き進み続けることから、今大会が久しぶりのコンテスト出場となった。
しかし、現役でCTを目指す大原洋人をはじめ、歴代グランドチャンプの加藤嵐や河谷佐助、国内プロツアーで大活躍中の佐藤魁や堀越類、平原颯馬など、名だたるトッププロサーファーたちの中に入ってもそのサーフィンの上手さはダントツであったのは特筆すべき点だろう。
SHONAN OPEN wining ride by Shun Murakami.
ラウンド3では小嶋海生、クォーターファイナルとセミファイナルでは、同じホーム湯河原で育った同級生プロサーファーの幼馴染みで、2014年にASP 3スター(現在のWSL QS3000)として開催された湘南オープンのファイナルで敗北を喫していた松下諒大にリベンジを2度果たし、ファイナルでは平原颯馬を相手にエクセレントスコア2本をまとめた村上舜。
まさに天下無敵のガチ猛者無双劇と言って過言ではないぶっちぎりのサーフィンを見せつけてダントツの勝利を収め、さらには誰よりも会場を盛り上げ、賞金100万円をさらって行ったのだった。
Shun Murakami & Ryota Matssushita.
自分のサーフィン人生で最も影響を受けたサーファーは?という質問に”村上舜”と答えた松下諒大。ライバルであり親友として育ち、ここまで来たこの2人の数奇な運命、そして切っても切れない深い縁。6年振りに開催された湘南オープンは、そんな彼らの人生にハイライトとして刻まれる新たなドラマの舞台となった。2024年年明けのオフシーズンに西高東低の波を狙って行ったウェイブハント・トリップで強烈なワイプアウトした際に足首を粉砕骨折するアクシデントに見舞われ、2度に渡る手術を乗り越えてこの人生の大舞台に立ち向かった松下諒大。彼こそ、今大会もう1人のスーパーヒーローに他ならない。
スタイリッシュかつ切れ味鋭いターンを武器に、クォーターファイナルでは今大会において最有力優勝候補選手であった大原洋人を抑えた平原颯馬。
クォーターファイナルではエアバトルを突きつけてきた若手トッププロサーファー古川海夕をエアをもってして返り討ちにし、セミファイナルでも地球のマナを感じまくっているに違いない波の引き寄せでエアリバース、そして強烈なレイバック・ハックで会場を盛り上げ、このままファイナル進出を果たすと誰もが信じ切っていた試合終了1分前に、まさかの前乗り全開なインターフェアを犯してことごとく敗退していった佐藤魁。「全然気づかなかった」と笑いながらヒート直後に言い放ち、周りを爆笑させるその姿はまさに唯一無二の天才的サーフスター。
大橋海人との一騎打ちとなったラウンド3では今大会初となるエクセレントライドを披露し、さすが世界に認められる日本人トッププロサーファーとしての存在感を示してくれたが、迎えたクォーターファイナルではいい波を待ち過ぎたのかスコアを伸ばすことができず、積極的に波に乗りまくってスコアを重ねた平原颯馬に敗退することとなってしまった大原洋人。この日の夜には飛行機に乗ってUS OPEN出場のためにカリフォルニアへ飛び立って行った。US OPENで2度目の優勝を決めてくれることに期待したい!Go Hiroto!! Go Japan!!!
この日のハイライト・ベスト3に入る名勝負を大原洋人と繰り広げた大橋海人。現在はオリジナル・サーフギアブランド”Lordish Behavior”を手掛け、Dane ReynoldsやCraig AndersonたちのFORMERの日本支部の一員としてワールドワイドなサーフビジネスにも携わり、後輩プロサーファーたちをサポートしながらも、ひとたびコンテストジャージを身につければ、後輩プロサーファーたちを遥かに凌ぐ貫禄とオーラを解き放つその存在感は、さすが世界に認められるフリーサーファーならでは。
会場となった鵠沼が生んだ次世代サーフスター堀越類。誰よりもこの海で練習を重ねてきたそのローカルナレッジに加えて、その実力の高さが光るスタイリッシュなサーフィンでラウンド3では歴代グランドチャンプ河谷佐助を抑え、今大会を盛り上げまくったひとり。優勝こそ逃してしまったものの、今回の湘南オープンにおけるその存在感は大きかった。今後のさらなる成長と活躍が非常に楽しみな選手。
日本一のビーチブレイクと評される仙台新港が生んだスタイルマスター小嶋海生。コンテストDAY1では素晴らしいライディングを連発してファイナルデイに駒を進めたが、不運にも優勝の村上舜と対戦したラウンド3ではその実力を発揮することなく敗退となってしまった。大きな身体と憎い内股スタイルを活かしたそのカッコ良すぎるサーフィンをこの湘南の日常的なクソ波でもっと見たかった。ある意味今回の湘南オープンは、この湘南の夏を象徴するようなクソ波でスター選手たちの貴重なライディングを見ることができるのも醍醐味だったと言って過言ではないだろう。
ロングボードのSTYLE JAMレジェンド・クラスで優勝を飾った瀬筒雄太。ファイナルでは2本のエクセレント・スコアをまとめた。
そんな瀬筒雄太とのファイナルを演じたのは湘南が生んだスタイルマスター中村清太郎。クラシカルなそのライディングに対戦相手の瀬筒雄太も歓喜の声を上げる。まさに競い合うコンテストではなく、お互いを讃え合うJAMセッションならでは。この2人にとってこの日の海で久しぶりに2人でセッションできたことにこそ価値があり、どちらが勝ったということはさほど重要ではないに違いないだろう。
ロングボードSTYLE JAM優勝を決めたのは、ISA日本代表選手であり、WSL LTロングボード・ワールドツアーにおいても日本代表選手として世界と戦い、さらには5度に渡る日本一のプロロングボード・グランドチャンプを獲得した浜瀬海。得意の海老反りソウルアーチ入りノーズライドからあらゆるセクションに対応する巧みなウォーキングと絶妙なボードコントロールはさすが世界仕込みであった。
そんな浜瀬海に敗退となったが、かっこよさでは決して負けていなかった小熊海ノ介。どんな状況に追い込まれてもブレずに自分のスタイルを貫き通す姿勢が表現されていたそのライディングは、コンペティターが決して表現することができないアートそのものであった。
通常のプロサーフィンコンテストでは考えられないほど多くのギャラリーが足を運び、ビーチを埋め尽くす中で行われた湘南オープンのサーフィン部門。
本会場であるHUG RIDEスケートパークはあり得ないほどの満員状態となっており、驚かされた。さすが夏の一大イベントとして定着しつつも、スケートパークのリニューアルなども重なって6年の沈黙を余儀なくされていた湘南オープン。この2日間に渡って会場を訪れた人の多さこそ、どれだけ多くの人がこの湘南オープン開催を渇望していたかを物語っている。
サーフィン、スケートボード、BMX、そしてショーケースがクロスオーバーする湘南オープンは、まさに日本のハンティントンビーチと言える鵠沼を舞台に、日本のUS OPENさながらの素晴らしいイベントとなった。
湘南オープンのサーフィン部門、TOP OF TOPとSTYLE JAMの模様をさらにディープにお伝えするcolorsTVオリジナル動画は後ほど公開予定。
そちらの方もお楽しみに!