サーフィンを始めたばかり、中学3年生の頃の直人さん。仲間が撮影してくれたという貴重なウォーターショット。スケートボードで慣らしていたせいか、ビギナーにしてすでにスタイルが出来上がっている。Interview&Text by Jun Takahashi Photo by Yasuma Miura Movie by Hajime Aoki.

 

日本随一の美しさを誇る伊豆・下田のビーチサイドから、サーフィンの様々な楽しみ方を20年以上に渡って発信し続けている「リアルサーフ」。オーナーである鈴木直人さんは、90年代を中心に活躍してきたプロサーファーだ。コンペティションや、ビッグウェイブをメイクするという厳しい世界に身を置いてきたからこその深い思い、直人さんのサーファーとしてのすべてが込められたサーフショップの魅力を全2回に渡ってお届けしていこう。

鈴木直人さんのプロフィール

すずき・なおと/1965年生まれ。静岡県下田市出身。学生の頃よりコンペシーンで頭角を現し、全日本サーフィン選手権大会での優勝、世界選手権大会の日本代表を務めるなど輝かしい成績を収める。プロ転向後はコンテストのみならず、数々のサーフィン雑誌でカバーや見開きを飾り活躍した。そうして世界中の海で得た経験を多くの人に伝えるため、1996年に地元である下田に「リアルサーフ」をオープン。2001年にはオリジナルのサーフボードブランド「ナライサーフボード」を立ち上げ、シェイパーとしても活動を始める。またサーフィンの指導者として、国際サーフィン連盟(ISA)認定の国際指導員認定資格レベル2を取得している。

 

リアルサーフとは?

多くの人がサーフィンを楽しみ、海の素晴らしさを感じられるように、波やレベルに合わせた幅広いサーフボードのチョイスを提案するプロサーファーの鈴木直人さんが、自らの経験すべてを注ぎ込んだ伊豆・下田にあるプロショップ。これまで6回開催された「伊豆サーフフィルムアートショー」の本部を務めるなど、アートやカルチャーについても取り扱い、伊豆におけるサーフカルチャーの発信基地となっている。

 

下田の海と、プロサーファーへの道のり

 

ビラボン(以下B):リアルサーフのある、伊豆・下田はどんなところが魅力的ですか?

鈴木直人さん(以下N):何といっても綺麗な海です。世界を旅して帰ってきたときには、あらためて水や砂浜の美しさが素晴らしいなっていつも感じています。

B:日本のビーチの中でも圧倒的な美しさですよね。訪れる人たちは、波はもちろんですが、他の場所にはない豊かな自然を求めていると思います。

N:お客さんと話しているとね、「水の綺麗さが抜群だ」ってみなさん言ってくれる。そこが下田の海の一番の魅力なのかなと思っています。島みたいで、緑豊かなところも素晴らしいですよね。

B:波の関してはどうでしょうか?

N:伊豆は半島だから、西のウネリ、南のウネリ、東のウネリと幅広くキャッチできて、なおかつ風をかわしてコンスタントにサーフィンできます。とくに下田は岬の先端なため、波の力が強いの特徴です。波の小さいときは初心者の方でも楽しめますが、サイズが上がってくるとパワフルなので、中上級者のサーファーも満足できるはずです。湘南方面から来ると、まずは広いビーチの白浜があります。そのまま国道を進んで吉佐美というエリアに入ると、多々戸浜、入田浜、大浜がある。こちらの方が比較的コンスタントに波がありますね。

B:リアルサーフのホームポイントはどこですか?

N:入田浜でいつもサーフィンをしています。入田浜はポイントの真ん中に岩があり左右に分かれているのですが、左側がメインポイントで中上級者が多いです。そして右側は波が少し弱くて、初心者の方が多い。そのようにあらゆるサーファーが楽しめるポイントですね。波には力があります。レギュラー、グーフィーともにチュービーな感じでブレイクするので、サイズが上がったときは比較的ハードになりますね。

B:ビーチには人工物がまったくないですよね。

N:入田浜は、自然環境において特別指定を受けていて、コンクリートの建造物を海岸に入れてはいけないところなんです。

B:恵まれたビーチなんですね。

N:あとは川が流れ込んでいないので、水が特別に綺麗なのかなと思います。


伊豆・下田の玄関口となる白浜は、抜群の美しさを誇るビーチ。波が小さければビギナーでも楽しめるが、ひとたびウネリが入ると上級者を唸らすほどパワフルでチュービーなライトがブレイクするという。Shirahama. Photo: Takahiro Tsuchiya.


サーフィンはいつでもどこでも楽しいが、青い透明な海でできれば格別の気持ちよさ。パワフルな入田浜の波にラインを描く直人さん。リアルサーフはこの美しいポイントからすぐ近くという最高の環境にある。Photo: Takahiro Tsuchiya.

 

B:直人さんはどのようにサーフィンを始めたのでしょうか?

N:兄貴2人がサーフィンをやっていたことに影響を受けたんです。最初は全然サーフィンをやらせてもらえなくて、その間はずっとスケートボードをやってましたね。それで中学3年の頃にやっとサーフィンOKの許可が出て(笑)、それから夢中になってね。下田の町中に住んでいたから、一番近かったのが多々戸浜でした。そこに同級生たちが集まって、みんなでサーフィンを始めたんです。

B:コンペティターとしては早咲きだったとお伺いしました。

N:すぐに大会にたくさん出るようになって、まずは全日本のボーイズクラスで僕が4番、同級生が2番になったんです。そうしたらみんなで盛り上がっちゃって。高校生になってからは、2年生のときにジュニアクラスで2番。3年生で優勝しました。それからはアマチュアで全日本に出て優勝することが目的でしたね。

B:トントン拍子ですね!そこからプロサーファーへの道のりは?

N:その後も頑張った甲斐があり、世界選手権の日本代表に2度選ばれました。「そしたら次は何?」って自分に問いかけたときに、やはりプロしかないなと思い、23歳でJPSAの公認資格を得たんです。でも日本にいるだけでは物足りなさがあったので、オーストラリアに5年ほど、春のシーズンに毎年出かけては、ゴールドコーストからベルズまでASP(現WSL)の大会を転戦していました。


1980年頃、多々戸浜にて一緒にサーフィンを始めた仲間と一緒に(直人さんは右から3番目)。すぐに波乗りに夢中になり、みんなで切磋琢磨しながら大会に出ていたという。シングルフィンが時代を物語る。

B:直人さんのプロ時代は、ビラボンのイメージが強かったです。

N:プロになって、すぐにビラボンがスポンサーになってくれてたんです。オーストラリアの本社へも度々行って、社長のゴードン(・マーチャント)さんと一緒にバーレーヘッズでサーフィンをしたり、最高の時間をビラボンと共に過ごしました。

B:ビラボンの本拠地はどんな様子でしたか?

N:当時はオッキー(マーク・オクルーポ)が筆頭でチームを引っ張っていました。ルーク・イーガンがいたりね。ワールドクラスのサーフィンを間近で見て、強烈な刺激を受けて下田に帰ってくるたび、どんどん自信がついていったことを覚えています。オーストラリアでのビラボンの盛り上がりはもの凄い勢いで、それを生で体験できたことは僕にとってかけがえのない財産です。個人個人のサーフィンのレベルでも、チームとしての強さとしても大きな影響を受けていました。

B:世界最高峰のチーム、本国では一段ととてつもなかったんですね。

N:一番好きなのは、ビラボンが掲げる「Only a surfer knows the feeling」という言葉。サーファーだけしか知り得ないその感覚を、世界中を回って体感できたことが僕にとってはとにかく最高だったんです。その言葉に込められた思いが、自分がサーファーとしてもっとも大切にしてきたことなので。ビラボンが、自分と世界のサーフィンを繋げてくれる鍵でした。


80年代後半~90年代にかけて、ビラボンのプロライダーとして活躍していた直人さん。本国オーストラリアに通いつめてサーフィンの腕を磨き、リアルな文化を吸収しながらサーファーとして成長していった。

<つづく>

 

INFORMATION

REAL SURF リアルサーフ

オーナーである鈴木直人さんシェイプのオリジナル「ナライサーフボード」始め、「アーモンド」、「ウェグナー」など魅力的なサーフボードが勢揃いする。また、ビラボンの最新ウェアが常時ラインナップし、下田エリアのセレクトショップとして、サーファーのみならず、県内外から多くの人が訪れるほど高感度なアイテムも豊富だ。アンディー・デイビスやヨナス・クレアッソン、ケビン・バトラーなど著名なサーフアーティストが手掛けた、リアルサーフのオリジナルグッズはここでしか入手できないので、ぜひお店を訪れて手に取ってみてほしい。ホームポイントである入田浜までは車で数分という好立地で、ISA公認指導者による丁寧なサーフィンスクール、ボードロッカーやレンタルなど気軽にサーフィンを楽しむためのサービスも充実している。

ADDRESS: 〒415-0028 静岡県下田市吉佐美1612-1(マップのリンク:https://www.google.co.jp/maps/place/〒415-0028+静岡県下田市吉佐美1612%E2%88%921/@34.6617394,138.915395,17z/data=!4m5!3m4!1s0x6017585e2dacec07:0x751fa3a82e2610f5!8m2!3d34.661735!4d138.9175837

TEL: 0558-27-0771

WEB: https://realsurf.jp

ビラボンコアとは? What is「#BILLABONGCORE」?

ビラボンは、1973年に創始者であるゴードン・マーチャントがつくり出した良質なボードショーツが、ローカルサーフショップから全世界へ広まっていったのが始まりです。グローバルブランドへと成長を遂げた今も、「Only a surfer knows the feeling(サーファーだけが知るあの感覚)」というフレーズとともに、サーフィンを愛するシンプルなスピリットをもっとも大切にしていることは変わりません。流行の移り変わりが早いこの時代だからこそ、サーフカルチャーを育み続けている、海辺のボードメーカーやサーフショップの背景にある“歴史”という揺るぎない価値、核(コア)を見つめ直し、改めてその魅力を伝えるべく生まれたコンテンツが「#BILLABONGCORE」です。サーファーたちのユニークな伝統を紡いでいくことは、世界のサーフシーンを長きに渡り支えているビラボンの役割であると考えています。

 

 

 

yoge
サーフィン・プレビュー/吉田憲右著・泉書房、古都鎌倉ミステリー旅/吉田憲右著・コスミック出版など数々の書籍を発行し、2000年にTRANSWORLD SURFの外部スタッフとなったのをきっかけにメディア界に参入。 2001年から2009年10月まで月刊SURFING WORLDの編集部兼カメラマンとして勤務。 その経験と共に、第1回NSA東日本サーフィン選手権大会Jrクラス3位、2年連続THE SURFSKATERS総合チャンプなどテストライダーとして培ってきた経歴を活かし、サーフィンを軸としたスケートボード、スノーボード、ミュージック、アート全般をひとつのコーストカルチャーとしてとらえ、心の赴くままにシャッターを押し、発信し続ける。 >>>出版物 >>>プライベート撮影問い合わせ