Text by RVCAjapan. Photos by colorsmagyoge.

securedownload-91-600x419

 

その日はデビル西岡の名に相応しく13日の金曜日であった。

東京のとある隠れたスペースにて一日、

いや数時間のみ開催されたアートショー THE BEGGARS BANQUET。

様々なメディアやソーシャルネットワークから

告知をしたにも関わらず、何故かオフィシャルである

カラーズマガジンやRVCA Japanからは

そのイベントの模様は一切報告はされていない。

IMG_8118

IMG_8136

IMG_8130IMG_8127

IMG_8134IMG_8124

IMG_8147

IMG_8120

 

 

客観的目線で見ても、

イベント当日は200人も入れば一杯のスペースに

400人近い関係者が訪れ、アートショーと言うよりも

ロックコンサートの様な熱気で、

改めてデビル西岡の凄さを見た夜であった。

しかし、我々は敢えて、

このイベントのリポートを今に至るまで差し控えていた。

それには色々な理由があるが、

大きな理由は、当日その場居合わせた人だけが共感、理解出来るという

アナログな部分を残しておきたい為である。

勿論、現代のソーシャルネットワーク社会において、

たとえ我々より発信しなくても、

自ずと誰かアップする写真やリポートがあるので、

我々の小さな思惑には何の意味も持たない事は

十二分に理解してはいたのだが。

それでも少しの時間を経過させて、

デビル西岡の盟友クリスチャンが帰国した数日後に、

全て始まりの経緯と共に

改めてここに認めることと決めていた。

この記事に掲載されている写真は純粋な作品のみであり、

決して多くの人々が楽しむ姿を写し出す

パーティーやイベントのリポートでは無い。

華やかさも恐らく無いであろう、けれど純粋な作品が持つ、

パワーやエネルギーそして狂気は写し出されているかもしれない。

その作品の内容こそが我々が伝えたかった全てであり、

それ以上でもそれ以下でも無い。

ではナゼ我々はこのイベントを開催にするに至ったのか?

それは全て偶然と必然が交差した一つのストリーから生まれたものであった、、、、

 

 

エピローグ THE BEGGARS BANQUET & Christian Fletcher 再来日&延長戦ツアー

 

デビル西岡 (西岡昌典)

nisisjj03

 

 

時間は今から約一年前に遡る。

当時、デビル西岡とRVCA Japanに従事する1人のメンバーは

偶然にも通りを隔てた近所の付き合いであり、

サーフィン、スケート業界で何らかの仕事に従事する者であれば

デビル西岡の名を聞いたこと無い者はおらず、

彼にしても同じく、デビル西岡の逸話を聞いたり、

時には目の前で見ていた。

デビル西岡の既存概念を持ち合わせない

想像力とエネルギーから生み出されるクリェーションは、

遠目から傍観者として見るのであれば素晴らしい芸術作品であり、

写真であり、また編集物であったが、

実際にそれを共同でプロジェクトとして進めることは、

とても素人の我々や企業団体であるブランドには、

彼が残した多くの逸話からハードルが高過ぎるチャレンジであると

容易に理解できた。

しかし、彼とデビル西岡の近所付き合いとしての関係は

日増し深まり、そんな折にデビル西岡は、

長年の持病から端を発した病が悪化し、

生命の存続さえも危ぶむ状況に置かれてしまう。

天涯孤独である彼の元で、遠くの親戚より近くの他人が、

奇しくも彼の身の回りを一時的であれ見ることは、

今思えば自然な流れであった。

またその時に、彼が強く抱いた決意、

それはこのアートや作品が時代の流れに埋もれ、

万一の事態の時、多くの人々が想い出として見るのでは無く、

本人の監修の基に世間の目にもう一度触れさせると言う決意であった。

そしてアートを介して生きると言う希望も

デビル西岡に抱いてもらう意図もあった。

彼とデビル西岡で約束された、たった一つの約束。

それは、生きる希望の手伝いであれば出来る限りする。

しかし死を望むのであればここから去る。

半ば究極の二者択一であり、デビル西岡は前者を選択した。

そこからは、限られた時間の中、

可能な限りデビル西岡が現在直目している状況を

海外にいるデビル西岡の友人達へ伝えることに奔走した。

デビル西岡の友人、その多くは著名人やレジェンドである為に、

Facebook等のファンページや個人ページがある。

もしかすると会ったことも無い。

日本の酔狂なファンからの

悪ふざけかもしれないメールになり兼ねないと思いつつ、

一人、一人に当時の状況を伝え、何を期待する訳でも無く、

デビル西岡の状況説明に徹し、

誰かのメッセージを待つこととなる。

その友人達からのアテンションが

何をデビル西岡にもたらすかの意味は特に考えはしなかったが

世界中に散らばる彼の友人に状況を知ってもらいたい、

只それだけである。

そして、もしかして、

そのメッセージが生きる希望を増長させるのであれば尚更であった。

そんな折、RVCA Japanへ米国RVCA本社より一通のメールが届く。

その内容はクリスチャン フレッチャーと再契約を結ぶ。

もう契約する最終段階であるが、

クリスチャンは契約終了後に直ぐに日本へ旅発ちたい、

契約のスピードも早急にしたい。

何故ならクリスチャンの親友が重い病に伏せているらしい。

そしてその付き添いの人物がどうやらRVCA Japanのメンバーでらしい。

契約完了後に直ぐにクリスチャンは日本に渡るであろう。

そして同行してくれ、と言うメールの内容であった。

 

クリスチャン フレッチャー(Christian Fletcher)

IMG_0462

 

 

彼の名、彼の家族、家系、その取り巻く全てが

世界のアクションスポーツ業界に於いて最も有名な家族であり、

また、有名な人物である。

その名前から生み出された、歴史、逸話、史実、

どの部分を切り取っても、

これ以上の存在は恐らく今後現れることが無いことは

間違い無いであろう。

RVCA本社からのメールが届いた。

48時間後にはクリスチャンは成田に降り立っていた。

ただ、数日前に見知らぬ人間から届いた。

親友の生命の危機状態を聞きつけて。

そこからの彼の行動は

3月にカラーズマガジンに特集された通りであるが。

その後の帰国後もクリスチャンは

RVCA本社のメンバーへデビル西岡のアートショーを

開催する為に説得し、デビル西岡の病床へ訪れることが出来なかった

多くの友人達へ状況とメッセージを伝えて奔走してくれた。

クリスチャンの一連の行動は

その辺りにある熱血不良漫画も吹き飛んでしまう程、

熱い心に満ちあふれていた。

しかしそれを敢えて、クリスチャンはこれ見よがしに

強調することも無く、淡々と、

けれども内に秘める友人への強い想いで行動してくれた。

勿論、今回の来日も

デビル西岡のアートショーに合わせての来日であったが、

プロサーファーとしての仕事も

前人未到の誰もサーフィンしないポイントを開拓することにより、

完璧にプロとしての仕事もこなした。

クリスチャンの高いコミニュケーション能力と動物的直感は、

フレッチャー家の天賦であろう。

しかしそれ以上に特筆すべき点は、

彼は本当に多くを望まないしシンプルである。

皆と時間を共有し楽しむことをモットーとしている。

しいて欲があるとすれば、プロサーファーとして

高いレベルの波に乗る部分に関しての欲求は人一倍である。

 

話が若干、逸脱したが、

このようにしてクリスチャン、デビル西岡、RVCAを介した、

不思議な運命が今回のアートショーに辿り着いた、、、、

と完結すべき所であるが、

実際はそれだけでは無いし、

実はそれ以上の理由が存在する。

本当のことを言えば、

この短い中では書ききれない無い

様々な人々の協力の基に成り立ったのが今回のアートショーである。

写真を快諾して使用させてくれた方々。

映像を無償で作ってくれた人。

作品の選択や展示を徹夜で仕上げてくれた方々。

病床に伏すデビル西岡を訪れてサポートしてくれた方々。

そして、RVCA Japanが帰属するGSM Japanの販促、営業、

事務、倉庫で働く様々なスタッフ。

実際に直接、関わりが無いとしても、

この仕事従事する、あらゆる全ての人々、いや、

一人、一人の全ての人々の存在と、

市井に日々従事する人々の集合体が作り上げた夜であると思う共に

一人、一人、来場してくれた方々と協力してくれた方々に、

もう一度改めて、心からこの場を借りて感謝したい。

またこのアートショーは決してチャリティーでも無く、

そのクオリティーが1ブランドが関わるに値するものであったことも

再度、追記しておきたい。

我々が携わるプロモーションやイベントは、

この日本全国1億数千万人へ届くメッセージを持つものではないが、

もしそうであるならば、全ての興味を持って頂いた方々に

最高の時間と対価を提供することが今の我々の唯一出来ることである。

あの晩一夜限りではあったが、

あの時間を来場して頂いた方々と共有できたこと、

そしてクリスチャン滞在中に出会った皆様に、

ほんの少でも楽しい時間(FUN)を与えることが出来たのであれば、

我々にとって最も光栄なことである。

 

このストーリーをすべてのストリートカルチャーを愛する人々と、その仕事に従事する人々に捧げる。 by RVCA Japan

yoge
サーフィン・プレビュー/吉田憲右著・泉書房、古都鎌倉ミステリー旅/吉田憲右著・コスミック出版など数々の書籍を発行し、2000年にTRANSWORLD SURFの外部スタッフとなったのをきっかけにメディア界に参入。 2001年から2009年10月まで月刊SURFING WORLDの編集部兼カメラマンとして勤務。 その経験と共に、第1回NSA東日本サーフィン選手権大会Jrクラス3位、2年連続THE SURFSKATERS総合チャンプなどテストライダーとして培ってきた経歴を活かし、サーフィンを軸としたスケートボード、スノーボード、ミュージック、アート全般をひとつのコーストカルチャーとしてとらえ、心の赴くままにシャッターを押し、発信し続ける。 >>>出版物 >>>プライベート撮影問い合わせ