
Photos & Text by colorsmagyoge.

9/26(木)。
台風20号のうねりを受けた鎌倉の稲村ケ崎にて
伝説のビッグウェイブコンテスト“稲村クラシック”が開催された。
稲村クラシックは、1981年に開催された“ナガヌマクラシック”が
その前身であり、1989年に“稲村クラシック”となった。
日本のビッグウェイブコンテストの先駆けとして知られる本イベントは
相応しい波が立たない限り開催されない。
そのため、今回は23年間という長いウェイティング期間を経て
まさに24年ぶりの開催となった。
そのため、当日は3000人ものギャラリーを集め、
その取材社数は42社に昇るというWCTさながらの盛り上がりとなった。
そんななか、見事優勝を飾ったのは茅ヶ崎出身の大橋海人!

Winning Call for Kaito Ohashi.
田嶋鉄兵、椎葉順、田中英義といった
いまの日本のサーフシーンをリードするトッププロたちとの
エキサイティングなファイナルの末、
前半はリードされていたにも関わらず、
中盤からぐいぐいと追い上げをみせ、感動の逆転優勝を果たした!
おめでとう!!
大橋海人の実父であり、
プロサーファーでシェイパーでもあった大橋勧氏も
実は稲村クラシックの招待選手であった。
が、そんな大橋勧氏は2年前、
予期せぬタイミングでこの世を去ってしまった。
今回は、息子の成し遂げた快挙を天国から眺めながら
決して息子には見せなかったであろう涙を流し、
その活躍を喜んだに違いない。
まさに親子2世代に渡る時空を超えた物語が、
24年ぶりに稲村ケ崎へと伝説の波を引き寄せ、
さらに今後も語り継がれて行くに相応しい
伝説を繋ぐ新たなドラマを創り出したと言って過言ではないだろう。

Winner, Kaito Ohashi.

Susumuism by Chigasaki Brothers.

2nd place, Teppei Tajima.
稲村クラシックはJPSAトップ選手及び、
歴代優勝者3名に加え、日本を代表するビッグウェイバー、
ローカルサーファーたちを含める36名の招待選手で行なわれる。
今大会では総勢40名の招待選手が出場となった。
そのなかでも、若手ローカルサーファー抱井暖が
アマチュアながらプロを相手に見事クォーターファイナル進出を果たし、
ローカルとしてのプライドを見せてくれた。

Dan Kakai.
やはり稲村ケ崎はリーフブレイクだけに
ローカルナレッジがなかり重要で、
関野聡、山田達也、中村竜、沼田裕一、藤村篤といった
ロコ・プロサーファーをはじめ
colorsmagでもお馴染みの抱井理樹ほか
原田俊広といったローカルサーファーたちも
素晴らしいライディングを披露してくれた。
中でも、colorsmag的には
貫祿溢れる富永忠男氏の滑りが印象的であった。


Tadao Tominaga.

現役を引退してもなお、その実力は衰えることを知らない関野聡プロ。クォーターファイナルのヒート1では大橋海人、大澤伸幸、中村昭太といった現役トップ選手と戦い、その存在感を充分にアピールしていた。Satoshi Sekino.

ローカルプロサーファーの次世代代表と言って過言ではない中村竜。鎌倉出身のサーファーとして、稲村ヶ崎の波を逃すわけにはいかない。多忙なスケジュールを縫って、出るべくして本イベントに参戦した。Ryu Nakamura.

Shinji Ohki.

Yuichi Numata.

Atsushi Fujimura.
そして、何よりも普段は見ることのできないトッププロたちが
稲村の波でサーフィンをしたことはとても新鮮だった。
普段見ている波でここまでハイパフォーマンスすることができるのか!?
という感動を覚えたと共に、稲村というポイントが持つ
ポテンシャルの高さを再確認することができた。


Arashi Kato.

K80 Matsuoka.

Nobuyuki Osawa.


Teppei Tajima.

4th place, Hideyoshi Tanaka.

Finalists of INAMURA Classic.

Kazuya Sato.

Takumi Nakamura.

Team yu, Takumi, yu,Kazuya.








Darren Turner.
多くの選手たちが際どいリエントリーやカーヴィングを見せる
なかでもクォーターファイナルヒート3で
2本のバックサイド・バレルをメイクして会場を沸かせた椎葉順、
ラウンド1のヒート1でcolorsmag的Barrel Of The 稲村クラシックに
選ばれた辻裕次郎。
そしてラウンド1のヒート2に出場した
中村昭太といった他のエリアのプロ選手たちが
今回見せてくれたハイレベルなバレル・パフォーマンスは、
ここの波を熟知しているはずのローカルですら感心するような
波に対する予測力と、
瞬時にそれに対応するスキルを兼ね備えていた
と言って過言でないだろう。

3rd place, Jun Shiba.

Shota Nakamura.

辻裕次郎によるこの日一番のcolorsmag的ベスト・バレルのシークエンスはこちらからもチェックしてみて下さい。>>Sick Barrel of The 稲村クラシック by 辻裕次郎
今回の稲村クラシックを生で観戦することができ、
また、その歴史的瞬間に立ち会うことができ、
本当に貴重な体験となった。
ビーチや稲村ケ崎公園はもちろん、
国道134号線の歩道まで埋め尽くすほど多くのギャラリーが集まった
イベントがこれまであっただろうか。

選手たちはギャラリーに囲まれながら海へと向い、
何か大技を決めればそこかしこから歓声が上がる。
まさにサーフィンがどれほど日本に根付いているかを
肌で感じることができるイベントとなった。
そう思うと日本のサーフィンにはまだまだのびしろが垣間見られ、
少し明るい日本のサーフィンの未来を連想させた。
ビッグウェイブに対する価値観というものは
人によって違うので何とも言えないが、
正直、ビッグウェイブと呼ぶには
少し微妙なコンテストとなったかも知れない。
が、これだけ多くの人が集まり、
雑誌や、colorsmagのようなwebメディアだけでなく、
テレビ、新聞にもサーフィンが取り上げられるということは
素晴らしいことであり、とてもポジティブである。
今回のこの波で開催に至ったことを
疑問視する人も少なくないなか、
それすらもポジティブに捉えることができるのならば、
今回のような波でも良いのであれば、
むしろ毎年開催してもらいたい。
稲村にとって今回のような波は、
さほど珍しくないのが事実であるからだ。
毎年とは言わずとも、せめて2〜3年に一度は
必ず開催してもらいたいというのがcolorsmagが感じたことである。

Inamura.
湘南の中でも歴史が深いエリアであり、
その地名の知名度の高さとロケーションの良さも手伝い、
日本サーフシーンのビッグステージと呼ぶにふさわしい稲村ケ崎。
この場所で開催されるクラシカル・コンテスト、
“稲村クラシック”が持つポテンシャルは想像を遥かに超えてに高かった。
そんな本イベントで見事優勝を果たした大橋海人へ、
改めておめでとう!!!
そして、感動をありがとう。


Kaito Ohashi.
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【稲村クラシック大会結果】
優勝 大橋海人
2位 田嶋鉄兵
3位 椎葉順
4位 田中英義
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