Photos & Text by colorsmagyoge.

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Donald Brink.

 

サーフボードは基本的に左右対称なものである。

しかし、サンディエゴ出身の天才サーファー&シェイパー

Ryan Burchが自らシェイプした左右非対称なアシンメトリーボードを

スタイリッシュに乗りこなしたことで

一気に世界中に衝撃を与え、

いまとなってはユーザーにとってひとつのチョイスとして

一般的にも認知されることとなった。

今回のカリフォルニア取材ではじめて撮影するチャンスに恵まれた

VISSLAにサポートを受けるDonald Brinkは、

アシンメトリーボードを追求する南アフリカ出身のシェイパーだ。

そんなDonald Brinkのファクトリーは、

サンクレメンテとダナポイントの間に位置する

ドヒニー・ステイト・ビーチからほど近い

街角の一角に佇んでいる。

想像していた以上に小さなそのファクトリーの中に入ってみると

ところ狭しとアシンメトリー・ボードが並ぶ。

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シングルフィンとサイドがスラスター、クアッドなもの、

アウトラインが極端に違うもの。

聞けば、どのサーフボードもコンセプトに沿って作られているらしく、

レギュラーオンリーのブレイク用、小波用、

バックサイド専用に作られたものなど、

ここには枚挙し切れないほどの多くの

アシンメトリー・サーフボードを目の前に

思わず一本一本を手に取り、

感触を確かめながらその乗り味に想いを馳せる。

果たして、どんなフィーリングを与えてくれのか。

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そうこうしていると、Donald Brinkが

ファクトリーの奥にあるシェイプルームを案内してくれた。

ぱっと見た感じは至って普通のシェイプルームであったが、

片隅に整然と並べられているノートの数々には、

Donaldによるサーフボードのデザイン、アイディアが書き記されていた。

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偶然にもこのタイミングで

VISSLAのプロダクト、デザインを担当するRob McCartyが

Brinkの工場に登場。

立場こそ違えど、2人ともプロダクトを生み出し、

デザインを創り出すことを仕事としている部分で

共通点を持っているRobとDonaldだけに、

ボードデザイン、カラーリングなどその話題は尽きない。

こういったディスカッションから

また新たな発想が生まれてくるのだろう。

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Rob McCarty & Donald Brink.

 

工場の撮影、取材が完了したところで

今度はサーフセッションを行なうべく海へ。

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Rob McCarty.

 

ここでは自らがシェイプしたアシンメトリー・ボードを

数本ばかり持ち出し、ボードを変えてはまた沖に出てを繰り返すBrink。

ボードごとに合ったスタンスの位置や乗り方があって

それがわかるとよりそれぞれのアシンメトリー・ボードが持つ

深みある乗り味を堪能できると教えてくれた。

かなりマニアである。

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Donald Brink.

 

あまりにもその乗り味が気になったので

撮影後にBrinkシェイプのアシンメトリー・ツインフィンを借りて

実際に波に乗ってみた。

そのボードはレギュラーの波に合わせて作られたもので、

どの部分がどう機能してそうなっているのか詳しいことはわからないが、

とにかく乗り味としてはレギュラースタンスで乗った場合、

つま先側のボトムターンはよりドライブするように設定されており、

一方のかかと側でのトップターンはよりクイックに反応するように

セッティングされているようだった。

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サーフボードに対してサーファーが求めるものは

基本的に調子の良さに違いないが、

アシンメトリー・サーフボードの場合は

その常識はずれな乗り味をコントロールすることに

楽しみと快感を見出すまた違った観点の

サーフィンであると言って過言ではないだろう。

Donald Brinkとふれあい、そのボードに乗ってみた果てに

またひとつ新たなサーフィンの楽しみ方を教えられた気がした

そんな貴重な1日となった。

 

 

 

 

 

 

 

yoge
サーフィン・プレビュー/吉田憲右著・泉書房、古都鎌倉ミステリー旅/吉田憲右著・コスミック出版など数々の書籍を発行し、2000年にTRANSWORLD SURFの外部スタッフとなったのをきっかけにメディア界に参入。 2001年から2009年10月まで月刊SURFING WORLDの編集部兼カメラマンとして勤務。 その経験と共に、第1回NSA東日本サーフィン選手権大会Jrクラス3位、2年連続THE SURFSKATERS総合チャンプなどテストライダーとして培ってきた経歴を活かし、サーフィンを軸としたスケートボード、スノーボード、ミュージック、アート全般をひとつのコーストカルチャーとしてとらえ、心の赴くままにシャッターを押し、発信し続ける。 >>>出版物 >>>プライベート撮影問い合わせ