今回のツアーの最終日となった朝は、
いまにも雨が降り出しそうなほど空一面がグレーに覆われていた。


it was a cloudy day on final day of this tour.

 grace team御一行は、
前日にサーフィンをしたポイントブレイクへと足を運ぶことに。
 波は、予想に反してサイズアップしておらず、
冷たい風が吹き付けるそそらないコンディションとなったが、
サーフィンはできるということで、
とりあえず何人かが入水。


Aoi Watanabe said good morning to loco birds.
 しかし、この日の寒さが長時間サーフィンすることを許さず、
はじめに海へ入ったメンバーたちは、早々と海から上がってきて
ビーチで焚き火を始めた。


Yutaro&Hyota build a fire to get warmer.

最後まで海に入っていたトッコさんこと関谷利博プロが、
海から上がってくると、
「波、上がらなかったね~。残念」
と、思わず本音をこぼした。


b/s snap by Toshihiro”tokko”Sekiya.

  寝ても覚めてもこれが最終日。
 この数日を振り返り、
後ろ髪を惹かれる思いのなか帰路についた。
 が、その帰り道の途中、
谷内太郎さんの提案で、
とあるレギュラーのポイントをチェックしてみると、
なんとそこで、頭前後のブレイクに遭遇!
 限られた時間のなか、
北浦俵太、金田輝士、渡邉優太郎、渡邉藍4名のヤングガンズによる、
1時間弱の短いフリーセッションが始まった。


Kiyoshi jumped in this final surf session.

  まるでそれは、
「この地を発つ前に、何も思い残すことがないように」と、
それぞれが全力を振り絞って1本1本の波に乗っているかのような、
熱いセッションに見えた。

 太いターンで深いトラックを刻む優太郎。


b/s carving by Yutaro Watanabe.

  このツアーで、THE DAYとなったDAY4に、
10ftのビッグウェイブに乗った輝士。


f/s big air with flying bird by Kiyoshi Kaneda.

  もし、DAY4にみせてくれた輝士の勇気がなければ、
北海道にも世界に誇れるビッグウェイブスポットが存在することを
全国に知らしめることはできなかった、
と言って過言ではないだろう。

 そんな先輩たちに刺激され、
最年少の渡邉藍もこのファイナルセッションでは
バックサイドながら切れ味のある動きを見せていた。


b/s ripping by Aoi Watanabe.

  そして、このセッションで一番の見せ場を作ったのは、
やはりこの男、北浦俵太。


Huge Air by Hyota Kitaura, Did he make it or not?

  春にエアで失敗して膝の内側靭帯を損傷して以来、
「思い切り飛ぶと着地が怖くなるときがある」と、
言っていた俵太。
 が、ツアーが後半に差し掛かるにつれ、
驚異的な高さと滞空時間を誇るビッグエアをバシバシとメイクし始め、
ついにこの日、連写速度秒間6.5コマ中、4枚分空中にいるという
クリスチャン・フレッチャー級のヒュージ・エアをメイク!
 俵太の中で、
確かに何かを乗り越えた瞬間を目の当たりにした、
そのことに気がついたとき、
少し胸が熱くなった。


Yes, he did it completely.

  4名によるセッションが終了し、
メンバーが車で着替えているとき、
無人となったライトブレイクをぼんやりと眺めていたら、
「このポイント、ツアー初日に夕日がめちゃくちゃ綺麗だった場所だ」
と、誰かが言った。
 その言葉を聞いて、その日の夕日を鮮明に思い出した。

 水平線に沈んで行く太陽。
 自分たちが住む関東エリアでは、見ることのできない景色だ。
 ツアー初日は、この夕日に魅せられながら、
これから待ち受けている未知なる出来事に
期待を膨らませた。

 長いような短いような今回の旅だったが、
田川昇氏やまゆげさん、DROPの若杉氏ほか、
多くのローカルサーファーたちと出会い、
触れ合うことができたうえ、
そんな仲間たちと共に車を走らせ、
10ftの波に遭遇し、
スタックスという新しいポイントまで開拓できたことは、
まさに、お金じゃ買えない貴重な経験である。

 この場を借りて、
改めまして、本当にありがとうございました。

yoge
サーフィン・プレビュー/吉田憲右著・泉書房、古都鎌倉ミステリー旅/吉田憲右著・コスミック出版など数々の書籍を発行し、2000年にTRANSWORLD SURFの外部スタッフとなったのをきっかけにメディア界に参入。 2001年から2009年10月まで月刊SURFING WORLDの編集部兼カメラマンとして勤務。 その経験と共に、第1回NSA東日本サーフィン選手権大会Jrクラス3位、2年連続THE SURFSKATERS総合チャンプなどテストライダーとして培ってきた経歴を活かし、サーフィンを軸としたスケートボード、スノーボード、ミュージック、アート全般をひとつのコーストカルチャーとしてとらえ、心の赴くままにシャッターを押し、発信し続ける。 >>>出版物 >>>プライベート撮影問い合わせ