Photos & Text by yy.

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年数回ほど商用を兼ねて訪れる南カリフォルニア。

滞在期間の大半はミーティングと空いた時間は市場調査も兼ねて、

コーストラインを南へ北へと奔走する時が多い。

ここ最近はそれに加えて、日本でのツアーやハワイでの時間を共に過ごした

クリスチャン・フレッチャーと仕事の終わった後や

早朝の仕事前にセッションをする機会が増えた。

過去の数々逸話や噂で出会う前までは、レジェンド、ダークヒーロー、

かぶき者と言ったイメージのクリスチャンであったが、

実際はサーフィンを一日に数ラウンド必ずこなし、

気の置けない友人や家族と過ごす時間を大切にする人間味溢れる人物である。

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とは言っても、生まれ持ったシニカルでウイットな目線と話術は、

数日も一緒に行動するとすっかりクリスチャンワールドへ取り込まれてしまう。

まあそれも実際は楽しい時間で、中学時代の先輩といる様な錯覚をおぼえる。

 

サマータイムで午後9時頃までは明るい夏の南カリフォルニア。

毎日、仕事を終えた頃に届くテキストメッセージ。

「サーフィンしようぜ? 夕飯とビリヤード行こう?」

「じゃあそっちへ行くっす」

そんな様なやり取りが滞在中続き、他の仕事や予定の合間を縫って時間を過ごした。

まあ、ノリ的には少年時代の先輩に近い感じがあるので気楽なのだが、

逆にそれは集合があれば優先順位の高さは、自動的に高くなると言うことでもあった。

バタバタと忙しなく、仕事と予定を済ませた帰国日の前日、

いつもの様にクリスチャンから連絡がある。

「What’s up?」

「明日、帰るっす」

「I know」

「明日も、朝サーフィンするっすか?」

「Call me」

「了解っす….」

「もしもし、あっ違ったハロー?」

「明日飛行機何時だよ?」

「午後3時っす」

「じゃあ朝サーフィン出来るな?家に朝6時半頃迎えに来いよ」

んー、でも自分今エンシニータスなんで….」

「エンシニータスなら帰りにサンクレメンテ通過するから丁度良いだろ?」

「それともあれか?そっちのカーディフ辺りでウナクネなサーフすんのか?」

うっ見透かされている…..

「何すかウナクネって?分かんないっすよ、それにこれカラーズマガジンで番組違うし、自分は10代から先輩見て育ってますから….」

「まあいいや何でも、じゃあ明日な待ってるよ」

ガチャッ、プッー、プッー……

先輩からの折角の最終日の誘いを断る訳にいかず、

お気楽なゆるりとした極み、

夏のカーディフのログ波に後ろ髪を引かれながら、

翌日の早朝、一路サンクレメンテとラグーナの間にあるクリスチャンの家を目指す。

到着早々、素早く身支度したクリスチャンと自分は、

クリスチャンの車で一緒にソルトクリークへ。

途中、タコス屋でベーコンとエッグたっぷり入った

ブレックファーストブリトーとコーラを購入して、

サーフィン談義とブラックジョークを交えながらPCHを北へと走らせる。

「しかし、昨今の健康志向時代に朝食からベーコンに卵、コーラってパンクで何か逆に良いっすね、毎日だったら嫌だけど….」

「何か言ったか? もう腹一杯で食えねえや….」

「やっぱり~…..」

ソルトクリークの丘に位置するパーキングに到着すると、

そこには弟のネイザン・フレッチャーが既に着替え始めていた。

「ネイト波はどうだ?」

「まあまあだな、たまにセットは来るぜ、ワックスあるか兄貴?」

「ん~…..見当たらないなぁ~、無いなぁ…..」

ゴソゴソ、、、

「いいやもういらない!先に行ってるぜ!」

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Nathan Fletcher.

 

 

先に急いでビーチへと駆けて行ったネイザンを背に、

我々も着替え始めて準備をする。

ウエットスーツに着替え、

そして板にワックスアップし、、、ん?ワックスアップ?

「先輩さっきワックス無いって言ってなかったっすか?」

「無いなんて言ってねえよ、ネイトはせっかちだからな、探す振りすると待てなくて行っちまうのを知ってたんだ。いつものことだよ、ハハハ」

目の前のサーフレジェンド兄弟達は

まるで中学生の兄弟の様なやり取りを繰り広げたのだった。

ビーチに着くと左のピークはサーファーで少し混雑しているが、

程良く綺麗にライト、レフトへとブレイクしている。

左側は空いてはいるがショアブレイク気味なのと、

キッズとハードコアなボディーボーダーが数名占拠していた。

ライトなノリのライトハンダーの自分は

ライトの波が多いライトな左側がに行こうとすると、、、、

「おいっ、そっちじゃあねえよ、向こうへ行くぜ!」

「ええ、分かってましたよ、こんだけ一緒にいるとね、でも一応ね意見を行動で表したまでで…..」

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Nathan Fletcher.

 

 

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Christian Fletcher.

 

 

サイズはセットで頭位。

それ程でも無いがショアブレイクがかなり手強そうな波。

まさにソフトトップやボディーボードに適した波である。

そんな中でクリスチャンとネイザンの二人は巧みにセットを掴み、

飛びまくりの、ショアブレイクバレルに入りまくり。

現在はハワイに拠点を置くネイザンと

地元サンクレメンテに住むクリスチャン二人のセッションは、

飛ぶ高さもレア度もかなり高く、

地元のボディーボードキッズ達の目も釘付けにしていた。

折角のレアな機会、対して良いカメラでも無いが、

早々と自分もビーチに戻り写真を撮ることにしてみた。

何とかライディング写真を数枚収めると、

二人ともビーチに戻って来る。

随分早いなと思ったのだが、それもそのはず、、、

お二人共2014年のアメリカや西洋社会トレンドに逆走するかの如く、、、、

「タバコくれ」

「あっ、ハイどうぞ….」

「んー今のキッズへの反面教師的な教えで、見たら逆に真似しないでしょうね?」

「何か言ったか?」

「いや、独り言です…..」

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Christian & Nathan Fletcher.

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Christian Fletcher.

 

 

タバコをふかしつつ、

ビーチで自分の削った最新の”Chritian Fletcher Surfboard”を見ながら

弟ネイザンとサーフ談義をする。

道徳的、非道徳的な行いへの批評や信義はともかく、

この二人の現役なサーフィンと全ての行動にたまらなく痺れてしまった。

右へ左へとカタパルトを見つけては空へと発射する元祖エアー・スタイルセッションが

目の前で繰り広げられている。

帰国前のお楽しみカーディフのウナクネセッションが流れても、

我慢出来る程の価値のあるセッションを見せてもらった。

ネイザンは先に実家へともどり、

自分的にはかなり手こずる波であったが二人で短いセッションを楽しんだ。

「そろそろあがりますか?」

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「そうだな、そろそろ空港にお前も行かないとな….」

クリスチャンの住む家に向かう帰路に、

昔の地元でのクレージーな秘話、現代シーンの良い所、悪い所、将来の計画、

サーフィンへの尽きることの無い情熱、沢山の興味深い話しを休むことなくしてくれた。

ホントにこの人は生まれながらのエンターテイナーなんだって、

改めて思う別れ際の短いドライブであった。

家に到着し、最後に今度から新しく始まる

“Mad House Customs by Christian Fletcher”のビジネスパートナーで

クリスチャンの友人でもあるマイクにも別れを告げ、

次回の再会を約束してサンクレメンテを後にしLAXへと向かった。

 

 

「じゃあ、そろそろ行くっす、ホント色々ありがとうございました、マジ楽しかったす」

「この夏一番の思い出、いや一生の思い出になりました…」

「ウソつけ、言い過ぎだろ? ピー×××ピー(自粛)にも同じこと言ってんだろ?」

「うぅ…最後まで突っ込み鋭いっすね….それは今度日本に来た時にナンチャラナントカ(自粛2)のカメラマンに言いましょうよ」

「そうだな、奴らに会えるの楽しみにしてるよ、多分夏の終わり頃に行くぜ!」

「日本の奴らによろしくな!Live Fast Die Lastだぜ!」

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Christian Fletcher.

 

 

 

今年もクリスチャン・フレッチャーは日本に来るのか?乞うご期待!? Stay Tune!

 

Special Thanks NAKISURF

 

 

yoge
サーフィン・プレビュー/吉田憲右著・泉書房、古都鎌倉ミステリー旅/吉田憲右著・コスミック出版など数々の書籍を発行し、2000年にTRANSWORLD SURFの外部スタッフとなったのをきっかけにメディア界に参入。 2001年から2009年10月まで月刊SURFING WORLDの編集部兼カメラマンとして勤務。 その経験と共に、第1回NSA東日本サーフィン選手権大会Jrクラス3位、2年連続THE SURFSKATERS総合チャンプなどテストライダーとして培ってきた経歴を活かし、サーフィンを軸としたスケートボード、スノーボード、ミュージック、アート全般をひとつのコーストカルチャーとしてとらえ、心の赴くままにシャッターを押し、発信し続ける。 >>>出版物 >>>プライベート撮影問い合わせ