Movie & Text by colorsmagyoge.

Typhoon10 LIONROCK FINAL from colorsmag on Vimeo.

 

ライオンロックのライオンはどこだどこだと、

西へ東へ一日中車を走らせたが、予想していたほどサイズが上がらず

されど頭半前後のグッドコンディションに恵まれた

8/29(月)の湘南エリアでのセッションを終え、

完全に不完全燃焼だったcolorsmagは松岡慧斗と共に

台風10号を追うようにして8/30(火)早朝に車を走らせること数時間。

激しい暴風のなか、目的地へ到着すると、

どこがアウトサイドがわからないほど遥か沖合から

12ftカインドの巨大な波が押し寄せる荒れ狂った海に遭遇することとなった。

これはさすがにまだサーフィン不可能ということで待機すること数時間。

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夕方には風がオンショアに回る予報が出ていたことから、

もう少し波が落ち着いて整ってくる前にオンショアが吹いて来ないかと

懸念されたが、1時間おきに波チェックするも、

海の状態は刻々と変化していき、

お昼過ぎの14時にはかなり波も整い始めていたが、

それでもまだサイズはゆうにセットで10ftくらいは

あるのではないかという波がアウトサイドから雪崩のように崩れ、

そのままインサイドの棚にヒットして巨大なチューブを形成し、

サーファー達を誘うかのようにスピッツを吹いていた。

そんな見ているとできそうだが、実際に海に入ったことを考えると

やっぱり無理かもというようなクレイジーなコンディションを前に

「やります」

と言い始めたのはやはり松岡慧斗。

ロコボーイの岩淵優太と共にアウトを目指してゲッティングアウトしていった。

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もし波のチョイスを誤ってワイプアウトとなり、

インサイドで一発食らおうものなら、

絶対に正面からはゲッティングアウトできないであろうハードコンディションのなか、

慎重に波を選ぶべくラインナップで波待ちすること数十分。

アウトから特大おばけセットが入り、食らいそうになる度に

ただならぬ緊張感が張り詰めるなか、

セッションで1番最初となる波をつかんだのは岩淵優太。

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Yuta Iwabuchi.

 

いざ人がテイクオフしてみると、

改めてその波のでかさに驚かずにはいられなかった。

しかしこの波はショルダーが激しく落ちるタイプの波で、

テイクオフした瞬間に一気に放り出されるそのスピードの速さのあまりか

ボトムターンすらままならず、ボトムで爆発するホワイトウォーターに

飲み込まれてワイプアウト。

そのままボードを手繰り寄せ、再び沖を目指すも

真っ白な泡で包まれたインサイドで容赦なく8ftソリッドなインパクトを

食らいまくり、ゲッティングアウト不可能と判断した岩淵優太は

海から上がってくると、仕事があるということでタイムアウトとなった。

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Yuta Iwabuchi.

 

それと入れ違いのタイミングで沼尻和則プロと西湘から駆けつけた

早稲田暁生プロの2人がラインナップにつくと、

今度は松岡慧斗がミドルセットにテイクオフ。

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Keito Matsuoka.

 

さすが日本屈指のビッグウェイブ・チューブマスターだけあり

ボトムターンからチューブにねじ込み見事トラベリングするも

最後のセクションがクローズアウト。

海面に出るやいなやすぐに沖を目指し、アウトへ向かう沖だしのカレントに乗り

うまく数本の波のインパクトをかわしてアウトへ出たのはさすがであった。

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さらに沼尻プロがソリッドなセットをつかんでテイクオフ。

この波も一気にボトムに放り出されてしまい、

ボトムターンでチューブにねじ込むタイミングをはかるも時すでに遅し。

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Kazunori Numajiri.

 

爆弾でも落ちたのかと見紛うほど大爆発となった

巨大なホワイトウォーターに包まれつつも、まさかの生還を果たし、

ショルダーに出てプルアウトするとそのままうまくカレントに乗り

セットをかわしてアウトのラインナップへたどり着いた。

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その後も数本の波を掴み、チャージを繰り返すも、

あまりのライオンの獰猛さに苦戦を強いられるライダーたち。

 

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Kazunori Numajiri.

 

コンディションが刻々と変化していくなか、

納得いく波に乗れないままでいた松岡慧斗は

1本乗ってゲティングアウトで跳ね返されると

再びビーチに上がってポイント左側へ向かって走り、

また沖に出てはワイプアウトしてビーチを走り

ゲッティングアウトを繰り返す。

目の前の凶暴なライオン波に何度やられても立ち向かっていくその姿に、

この波をメイクすることに対する気持ちの強さと

プロ意識の高さを感じずにはいられなかった。

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Keito Matsuoka.

 

波を待つこと1時間以上。

ようやく波をつかんだ早稲田暁生だったが、

この波もことごとくボトムで粉砕。

ライオンと化したここの波の洗礼を受けることとなった。

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Akeo Waseda.

 

一度ビーチに上がってきて入念に波チェックしながらも、

「ボードが長すぎてボトムターンでねじ込めない」

ということで少し短めのボードに変えて再びチャレンジ。

しかし、あまりの波の巻き上げの激しさに

テイクオフでノーズが刺さってしまい、

サーフボードが真っ二つに折れてしまうハメに。

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Akeo Waseda.

 

ここの波が良くなることを嗅ぎつけ、先輩の木部さんと共に

はるばる湘南から車を走らせ、少し遅れて到着したのは深川達也。

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Kibe san & Tatsuya Fukagawa.

 

激しくサイズダウンしてきていたうえ、

オンショアに変わる予報が出ていたことから

早速入水すると、まずはワイメアもライドする

ビッグウェイバー深川達也プロが、

まずは小手調べといった感じでレギュラーの小ぶりな波を掴みつつ、

今度は湘南のビッグウェイブ好きな先輩、木部さんがレフトを掴む。

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Kibe san.

 

しかし、ゲッティングアウトではまってしまい、

そのままインサイドの激流カレントでテトラ側に流されると、

正面に入ったセットを深川達也がテイクオフ。

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Tatsuya Fukagawa.

 

まさにバックドアかオフザウォール・カインドと言って過言ではないこの波を

見事チューブに突入して駆け抜けてきたのだった。

その模様はこの記事の最上部に掲載されているcolorsmagオリジナル動画で

見ることができるのでぜひチェックして頂きたいと同時に、

シークエンスコーナーでもそのモーメンツをアップさせて頂きましたので

ぜひそちらもチェックしてみてください。

>【必見シークエンス】フロントサイド・ライオン・チューブ・トラベリング by 深川達也

 

テトラ側に吸い込まれそうになりながらも、豊富な経験を生かして

なんとか海から上がってきた木部さんだったが、

見た目以上にハードはコンディションに

「これは20代のプロサーファーに任せたほうがいい波だな」

と、ビッグウェイブは苦手なほうではない湘南の木部先輩のその言葉に

47歳にしてこの海で長時間サバイブする沼尻和則プロの

物凄さを思い知らされた。

 

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Kazunori Numajiri.

 

そんな沼尻プロが最後にバックサイドでレギュラーの波に乗り、

海から上がってくると、まるですべてを知っていたかのように

オンショアが吹き始め、セッションは終了。

最後の最後まで決めきれず、粘りに粘ったのは松岡慧斗だったが、

最後にテイクオフしたグーフィーで得意のグラブでチューブにねじ込むも

タイミングがわずかにずれてしまい、チューブの中を転がり回るほどの

ハードワイプアウトとなり、コテンパンにされた形でセッションは終了。

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Keito Matsuoka.

 

「今年一番でかかった」

このポイントに長年チャレンジし続けている沼尻プロが言った。

ライオンロックのライオンは、この日サーフしたライダーたち全員に

リベンジを誓わせるほど深い爪痕を残していったのだった。

まさに自分との戦いに打ち克つべく、何度倒れても立ち向かっていく

ライダーたちの姿に今年一番の感動を覚えた

強烈なライオンロック・ファイナルセッションとなった。

ローカルの皆様、ありがとうございました。

そして、台風10号ライオンロックがもたらした記録的な豪雨によって

天災による被害に遭われた北海道、岩手をはじめとしたエリアの方々の

一日も早い復興を祈ります。

 

 

 

 

yoge
サーフィン・プレビュー/吉田憲右著・泉書房、古都鎌倉ミステリー旅/吉田憲右著・コスミック出版など数々の書籍を発行し、2000年にTRANSWORLD SURFの外部スタッフとなったのをきっかけにメディア界に参入。 2001年から2009年10月まで月刊SURFING WORLDの編集部兼カメラマンとして勤務。 その経験と共に、第1回NSA東日本サーフィン選手権大会Jrクラス3位、2年連続THE SURFSKATERS総合チャンプなどテストライダーとして培ってきた経歴を活かし、サーフィンを軸としたスケートボード、スノーボード、ミュージック、アート全般をひとつのコーストカルチャーとしてとらえ、心の赴くままにシャッターを押し、発信し続ける。 >>>出版物 >>>プライベート撮影問い合わせ